本研究は課題達成場面において, 3つの目標志向性 (習熟志向性, 成績志向性, 承認志向性) とパフォーマンスとの関係を調べた。いくつかの大学に在籍するバドミントン選手を対象に, 競技大会の前にデータを収集した。研究1は, 仮定したモデル (所属感→目標志向性→セノレフ・エフィカシー→練習行動→パフォーマンス) をパス解析を用いて検討した。その結果, 所属感はパフォーマンスに対して間接的な影響を示し, それは2つのパスによって表わされた。1つめの仲介変数は習熟志向性と練習行動で, もう1つは成績志向性とセルフ・エフィカシーであった。パフォーマンスに対して, 成績志向性はポジティブな効果を示したのに対し, 承認志向性からの影響は示されなかった。研究2では, 動機づけ的変数と練習行動の1年間の変化を共分散分析を用いて検討した。昨年のパフォーマンス指標を高低群の2つに分けて独立変数とし, 昨年の測定値を共変量とした。承認志向性においてパフォーマンスの主効果が有意傾向にあり, パフォーマンスの低い群が高い群よりも, この1年間で承認志向性を向上させた。課題遂行に対するパフォーマンス目標の異なる効果について, 考察がなされた。