心配には問題解決のために能動的に制御された側面 (問題解決志向性) と制御困難性という2つの側面が存在している。本研究では両者の関連を因果分析によって検討した。心配のプロセスをとらえる質問紙を大学生359名に実施したデータを, 共分散構造分析によって分析したところ, 問題解決志向性は制御困難性を抑制する効果とともに, 問題が解決されないという感覚 (未解決感) を強めることを通じて, 制御困難性を促進する効果ももっていることが見出された。問題解決志向性から制御困難性へのこのような正負の効果が相殺しあって, 両変数はほぼ無相関であった。さらに, 心配の問題解決志向性は普段一般の積極的な問題解決スタイルを反映していること, 問題解決の自信の低さや完全主義という性格特性が未解決感を強めることが見いだされた。問題解決にかかわる変数から構成されるモデルが, 心配の制御困難性の分散の約31%を説明していたことから, 問題解決に着目した理論化および臨床的介入が有効であることが示唆された。