本研究では, 教育実習期間中に実習生が経験するストレッサーを継時的に測定する尺度 (教育実習ストレッサー尺度) の開発を目的とした。157名の実習生を対象に, 34の刺激事態項目に対してその経験の有無と不快に感じた程度を実習期間中に計3回評定させた。同時に心理的ストレス反応尺度 (PSRS-50R), 高揚感尺度, 身体的反応尺度に対しても継時的に評定させた。項目分析の結果, 5つのストレッサー・カテゴリー (基本的作業実習業務対教員, 対児童・生徒, 対実習生) から構成される教育実習ストレッサー尺度 (計33項目) が作成された。教育実習ストレッサー尺度で測定された各ストレッサー得点と心理的ストレス反応得点との継時的な関係を検討した。実習開始直後では多くの心理的ストレス反応に作用するストレッサーに共通性が認められた。しかし実習中頃になると反応毎に作用するストレッサーが異なり, 実習が終了近くなると再び多くのストレス反応に作用するストレッサーが共通してくることが示された。以上の結果から, 実習生に生起する心理的ストレス反応へのストレッサーの作用を捉える上で教育実習ストレッサー尺度は有効な尺度であることが示された