本研究の主要な目的は, 大学生を対象として, ささいでポジティブな出来事のもつストレス反応を軽減する効果を探ることであった。そこで, 新たに日常的出来事尺度を作成し, それとストレス反応尺度を用いて, ネガティブとポジティブの両方の日常的出来事が健康状態に及ぼす影響を検討した。日常的出来事尺度は, 因子分析の結果に基づき6つの下位尺度 (自己に関するネガティブな出来事, 対人関係に関するネガティブな出来事, 大学生活に関するネガティブな出来事, 私生活に関するネガティブな出来事, 自己に関するポジティブな出来事, 対人関係に関するポジティブな出来事) 40項目で構成された。日常的出来事下位尺度を説明変数に, ストレス反応下位尺度を基準変数にして重回帰分析を行った結果, ネガティブな出来事が多いと健康を損ねやすいという従来の結果を支持するとともに, ポジティブな出来事が多い者ほど健康であるということが明らかにされた。