本研究の目的は子どものコミュニケーション・スキルが社会的地位と場面によってどのように異なる特徴を示すかを明らかにすることである。それによって, スキル訓練介入プログラムに含むべきスキルを見出すことである。本研究の被験児は69名であり、ソシオメトリック指名法の肯定的指名得点と否定的指名得点によって人気児群, 拒否児群, 平均児群, 無視児群, 両論児群の5つの群に分けられた。社会的地位と場面 (ホスト対エントリー)による子どものコミュニケーション・スキルの差異を検討した結果, 人気児群は拒否児群より場面を問わず, 相手からの働きかけに対して適切に反応し, フィードバックをより多く与えるなど, 全体的に優れていることが示された。それに対して, 拒否児群はフィードバック・スキルにおいて場面を問わず人気児群と差を示すだけではなく, 働きかけスキルにおいては場面によるスキルの運用の拙さが多くみられた。すなわち, 拒否児群はホストよりエントリーのとき“情報の提供”がより少なく, “強い要求・命令”がより多くみられた。このような結果から, 仲間からの受容に重要な影響を及ぼすコミュニケーション・スキルが示された。