この研究の目的は, 登校を巡る意識の変化や欠席や欠席願望の抑制要因を検討することによって, 学校不適応や不登校の予防や援助に貢献することである。調査対象は851名 (1992年度428名, 1998年度423名) の中学生である。その結果,(1) 1992年度と1998年度の比較から, 中学生の学校から離脱していく傾向が高まっていることが明らかになった。不登校生徒への評価意識については, 批判的な態度を示す生徒が 1998年度やや減少したものの, 無関心な生徒はかなりの増加を示していた。(2) 両年度ともに欠席願望を抑制する要因として, 登校理由の中の「学校魅力」が大きな影響を与えていた。また, 1998年度の生徒で「自己基準」も抑制要因となっていた。(3) 欠席の抑制要因は, 登校に対する「規範的価値」に限られることが見いだされた。その一方で, 欠席願望を抑制する要因は, 「対友人適応」, 「学習理解」, 「規範的価値」と複数の要因が見いだされ, 欠席抑制要因とは一致しないことが明らかとなった。欠席願望の抑制と欠席そのものの抑制を分けて考えるべきであることがこの研究から示唆された。