教育場面においても対人関係の否定的側面が精神的健康に及ぼす影響は重大な問題であると考えられる。本研究では (1) 社会的スキルと対人ストレスイベント (ストレッサーとなり得る対人関係上の出来事) の関連,(2) 対人方略 (他者との関わり方/スタイル) と対人ストレスイベントの関連,(3) 対人方略と社会的スキルの関連, を検討することを目的とした。分析対象は大学生計200名 (男性105名, 女性95名, 平均年齢19.38歳) であった。分析の結果, 社会的スキルは対人劣等とは負の関連を持つという仮説は支持されたが, 対人摩耗とは正の相関を示すという仮説は必ずしも支持されなかった。また, 社会的スキルの対人ストレス緩衝効果は示されず, 部分的に直接効果が示された。対人方略と対人ストレスイベントの関連については, 内省傾向が否定的影響力をもつことが確認された。対人方略と社会的スキルの関連については, 対人関係の深化を回避する傾向が社会的スキルと負の関連を持つことが確認された。最後にこれらの知見を受けて, 今後の課題などが議論された。