幼児が,(性格) 特性・動機・行動の因果関係や, 特性は特定場面を越えて一貫した行動の原因となるということを理解しているかどうかについて検討した。具体的には, 3, 4, 5, 6歳児の4群を対象に, 動機・行動・結果からなる物語を提示し, 動機情報を用いて行為者の特性をラベリングし他場面における行動予測をすることができるかどうかを調べた。また, 動機・行動・結果の順に提示するか, 行動・結果・動機の順に提示するかということが, それらの推論過程に影響を及ぼすかどうかにっいても調べた。その結果, 特性のラベリングにおける動機情報の使用から, 特性・動機・行動の因果関係は3・ 4歳から理解し始めているが, 5歳からより確実に理解できるようになることが示唆された。そして行動予測における動機情報の使用と〔物語の動機-特性のラベリングー他場面における行動予測〕の回答の一貫性から, 特性は特定場面を越えて一貫した行動の原因となることは, 5歳から理解し始めているが, 6歳からより複雑な場面においても理解できるようになることが示唆された。このような発達過程が見出されたのに加えて, 幼児における特性推論過程には新近効果が見られることが推測された。