小学校4年生, 5年生, 6年生を対象に, 文章中の非整合的な部分 (エラー) を検出する課題に関する 2つの実験を行った。その際に要点情報に関するエラー (包括的エラー) と非要点情報に関するエラー (局所的エラー) の2種類のエラー検出課題を用意した。さらに実験2では文脈に基づいて文を解釈する能力を測定するために, 文章中の空欄にあてはまる語を空欄の前後情報をもとに判断する空欄補充課題も行った。空欄補充課題の成績が高い群はエラー検出の成績もよく, エラーの検出には前後の情報から文を解釈できることが関係すると確かめられた。また全体的に包括的エラーの検出成績は局所的エラーよりも高く, 文章中の他の多くの情報と関連のある要点情報は, 非要点情報よりも検索されやすいことが示された。しかし実験2では, 4年生で両エラー条件での検出成績に差は見られなかった。また局所的エラーとは異なり, 包括的エラー検出の学年差には空欄補充成績の高低だけでは説明できない部分があった。これらの結果から, 児童期後半には, 文脈から文を解釈する能力, および検索可能なマクロ構造を生成する能力がそれぞれ発達するということが示唆された。