本研究では, 特別な教育ニーズを持つ子どもの母親に対する教師からのサポートの種類とそれに対する母親のとらえ方の関係を明らかにした。質問紙は, 通常の学級に在籍する子どもの母親199名の調査を基に信頼性と妥当性を検討し作成した。さらに, この質問紙を用いLD (学習障害) およびその周辺の子どもの母親63名を対象に調査を行った。なお, サポートの種類は, 教師からのサポートを道具的サポート, 情緒的サポート, 指導的サポートの3種類でとらえた。その結果, 通常の学級の母親では, サポートへの評価において情緒的サポートや道具的サポートの方が指導的サポートよりも有意に援助的と評価されやすいことが明らかになった。一方, LDおよびその周辺の子どもの母親では, サポートへの評価および行動への意思共に, 3種類のすべてのサポートの間に有意な差が認められ, 道具的サポート, 情緒的サポート, 指導的サポートの順に援助的ととらえられやすいことが明らかになった。以上の結果から, LD およびその周辺の子どもの母親には, 母親を情緒的に支えるサポートだけでなく, 教師が母親と共に行動するような道具的なサポートが有効であることが示唆された。