本研究の目的は, 一般情年に見られる被害妄想的な思考を自己関係づけとしてとらえて, 青年期心性の観点から検討することである。研究1では自己関係づけ尺度を作成し, 妥当性と信頼性の検討を行った。被調査者は大学生212名 (男子94名, 女子116名, 不明2名) であった。その結果, 12項目からなる1因子構造の自己関係づけ尺度が作成され, 信頼性及び妥当性がおおむね確認された。研究2では, 自己関係づけを発達的視点から検討した。自己関係づけ, 他者意識, 自尊心, 個人志向性・社会志向性からなる質問紙が高校生465名 (男子237名, 女子224名, 不明4名) と大学生205名 (男子85名, 女子117名, 不明3名) に実施された。その結果, 高校生に比べて大学生が自己関係づけ傾向の高いことが示された。重回帰分析の結果から, 高校生は男女ともに自己関係づけに他者意識と個人志向性が関連しているのに対して, 大学生になると, 男子は他者意識に加えて自尊心が自己関係づけと関わりをもち, 男女によって自己関係づけへの関係のあり方に異なる傾向が見られた。自己関係づけについては, 他者に対する関心の表われであることが示唆された。