本研究は, 5歳児の罪悪感に共感性と役割取得能力が及ぼす影響を検討した。その際, 罪悪感を感じる場面として対人場面と規則場面を設定した。幼稚園5歳児100名を対象として, 罪悪感, 共感性および役割取得能力について面接法で測定した。罪悪感については, どれくらいあやまりたい気持ちになるかを測度とした。また, 共感性はAST (Affective Situation Test), 役割取得能力はSelman課題で測定された。その結果, 共感性は対人場面での罪悪感に影響し, 役割取得能力は規則場面での罪悪感に影響することが明らかになった。したがって, 5歳児では対人場面と規則場面では罪悪感の規定因が異なることが示唆された。