小学校において, 児童が教師の指導に反発し学級運営や授業が成り立たなくなるような「学級の荒れ」(もしくは「学級崩壊」) と呼ばれる現象が増加傾向にある。本研究は, ひとたび荒れてしまった学級に対してどのような介入が有効なのかを, 具体的事例での実践を通して探った。学級の荒れを改善するための介入は, 教師へのコンサルテーションとTTによる支援を中心に行われた。教師の子ども認知や子どもの教師認知に関するアセスメントを行った後, コンサルテーションでは, 教師の子ども認知や子どもとの対応の在り方の変容をめざした話し合いが繰り返された。TTによる支援では, 学級に入りこんだ指導補助者が荒れの中心メンバーを中心に関わりを深め, 学習活動を支えることによって彼らの授業への参加意欲を高めたり, 教師との関係を再構築できるようなはたらきかけを行った。その結果, TTによる支援をフェードアウトした後も介入前のような荒れた状態は消失するとともに, 教師の子ども認知や子どもの教師認知にも変容が見られた。本研究を通じて, 教師と子どもの人間関係に焦点を当てた介入によって学級の荒れを改善できることが明らかになった。