アジア系留学生の専門的ヘルパー, 役割的ヘルパー, ボランティアヘルパーに対する被援助志向性に関連する社会・心理学的変数を抽出するために, 質問紙調査が実施された。国立大学に在籍する韓国, 中国, 台湾のアジア系在日留学生を対象に調査を行い, 257票の質問紙が回収された。専門的ヘルパーとして留学生担当教官, 役割的ヘルパーとして日本語教師, 指導教官, ボランティアヘルパーとして同国人留学生, 日本人学生が設定され, 学習・研究, 健康, 対人関係, 住居・経済, 情緒領域の被援助志向性が尋ねられた。分析の結果, 同国人留学生の一部の領域を除き, 被援助志向性と呼応性への心配, サポートの量との関連が認められた。またいくつかのヘルパーでは, 性差や自尊感情, 日本語能力等との関連が認められた。自尊感情では, 被援助志向性と正の関連が認められた。このような結果から, ヘルパーや領域によっては, 性差や自尊感情などを考慮する必要があるが, サポートを積極的に供給すること, 呼応性への心配を低くする介入で, 被援助志向性を高められる可能性が示唆された。