本研究の第1の目的は, 音楽大学への進学理由の認知について検討することであった。そのため, 音楽大学の1, 2年生を対象に調査を行った。女子学生378名の, 進学理由項目への回答に対して斜交因子分析を行った。結果から, 進学理由について5因子 (将来展望, 能力活用, 同一視, 他者のすすめ, 消極的動機) が見出された。最初の3つの因子問に正の相関が見られ (r=0.39~0.49), これらの因子は積極的な動機を示すものであった。本研究の第2の目的は, 音楽大学への進学理由の認知が, 大学における適応に与える影響を検討することであった。そのため, それらの関係についての因果モデルを作成した。なお, 適応感についての項目は, 主成分分析を用いて選択した。データは, 共分散構造分析を用いて分析され, 異なる専攻間の比較も行った。その結果, すべての専攻において, 積極的動機が大学での適応を導くことが示された。