3つの実験を通して, 被覆原則と分散原則というカテゴリに基づく帰納推論における方略の個人差が生じる理由について調べた。この違いを生み出す原因として, カテゴリの凝集性に着目した。人工的なカテゴリに共通属性やカテゴリラベルを付加したり, カテゴリの階層レベルを変えたりすることによって, カテゴリの凝集性を操作し, 帰納推論の確証度判断に及ぼす影響を調べた。包含カテゴリの階層レベルが, 確証度判断に影響していた。実験1および2では包含カテゴリが基礎レベルに近いと判断されており, 分散原則に基づく確証度判断が行われていた。実験3では, 包含カテゴリが上位カテゴリ以上のレベルと判断されており, 網羅原則に基づく確証度判断が行われていた。