小学校教員21名を対象に, 1年生から6年生までの児童が書いた生活文を, 現行の学習指導要領 (1989) を反映させた18の分析的評価項目と2つの総合評価項目とで評定させた。評定結果をもとに, 分析的評価項目の妥当性・信頼性の検討と, 作文に対する好意度の違いが評価に及ぼす影響を明らかにした。なお, 妥当性の検討は,(1) 作文の直感的よしあしを識別できること,(2) 評定者間で評定結果が一致する傾向が強いこと,(3) 総合評価項目と関係が強いこと, の3基準で行った。その結果, 高学年に比べ低, 中学年では, 3基準を満たす項目の数が少ないことが示された。また, 3基準を満たす項目の数に加え, α値の低い項目が多数検出されたこと, G係数の値が他学年に比べ低いことから, 中学年時の評価の取り扱いには特に注意を要することが示唆された。そこで, 中学年の結果をもとに, 教員を好意度から高群と低群とに分けて分析したところ, 低群は高群に比べ,(1),(2) を満たす項目が少ないことが示された。このことから, 好意度により中学年の評価の難しさの中身は異なり, 好意度は生活文評価を困難にする重要な要因の1つであることが示唆された。