大学生652名に英語リスニング・テストを実施した。テスト内に3つの実験ブロックを設定し, 発話速度, 休止時間, 選択肢様式について操作した。原問題を加工した実験項目を8つのテスト・フォームに割り当て, フォーム間の比較のためにアンカー項目も配置した。分析には古典的テスト理論と項目反応理論 (IRT) の項目特性指標を使用した。結果として,(1) 発話速度の低下に伴い困難度 ( b ) は低下し, 音声持続時間を80%~140%変化させたところ, 項目通過率の平均が約7%上昇した。(2) 選択肢様式については, 文字提示の方が音声提示より困難度 ( b ) が低く, 平均通過率が約12%高かった。すなわち, リスニング・テスト状況下でも被験者は文字情報に依存的であった。(3) 選択肢様式の条件差で生じた被験者群間の正答率の平均差は, 能力推定値 (θ) では解消し, IRTによる等化は良好な補正機能を示した。この長所を生かし, 被験者への成績情報のフィード・バックも可能にするためのIRTと実験計画法を組み合せた新しい研究方法を提案した。