本研究の目的は, 説明文読解方略について, 具体的な認知的活動を表す構造を示し, その併存的妥当性および交差妥当性を検討するとともに, 学年による方略使用の違いを検討することである。調査1では, 読解方略は,「意味明確化」「コントロール」「要点把握」「記憶」「モニタリング」「構造注目」「既有知識活用」の7カテゴリに分類できることが示され, これらのカテゴリは,「部分理解方略」「内容学習方略」「理解深化方略」の3因子のもとにまとめられることが示唆された。これらの因子は, さらに上位の因子である「読解方略使用傾向」のもとにまとめられた。調査2では, 発話思考法を用いて, 上述のカテゴリの併存的妥当性を示した。最後に, 調査3では, 方略構造の交差妥当性が示され, さらに, 学年間の比較から「要点把握」「構造注目」「既有知識活用」において学年による方略使用の違いを見出した。このことから, これら3つのカテゴリに属するような方略が, 年齢によって発達するものであることが示唆された。