本研究は, 中学生の心理的ストレス・プロセスにおける二次的反応の生起について検討することを目的とした。540名の中学生を対象として, 学校ストレッサー, 一次的反応としての情動反応, 二次的反応と仮定される, 引きこもり, 依存, 対人不信, 自信喪失, 無気力, 絶望, 攻撃の7カテゴリーの反応について調査を行った。二次的反応と仮定された7カテゴリーの反応をとらえるために使用した項目について探索的因子分析を行った結果,「攻撃」,「引きこもり」,「無気力」,「依存」の4因子が得られた。これらが, 学校ストレッサーやそれによって引き起こされた情動反応といかなる関係にあるのかを検討するために, 学校ストレッサーから情動反応を経て,「攻撃」,「引きこもり」,「無気力」,「依存」反応に至るモデルを共分散構造分析によって分析した。結果は「攻撃」,「引きこもり」,「無気力」,「依存」反応は情動反応が高まってはじめて生起する二次的反応であるとする仮説に反しないものであった。また, 同じ二次的反応であっても, その種類によって生起パターンが異なることが分かった。