幼稚園教諭の精神的健康へのストレスの影響, 及びストレスへの個人特性の影響を明らかにするため, 質問紙による調査を行った。ストレス評価に影響を及ぼす個人特性として保育者効力感, ハーディネスを仮定し, 幼稚園教諭のストレス要因を明らかにするとともに, これらの個人特性の効果を検討するものである。質問紙の内容は, 認知的評価の視点から作成したストレス評価尺度, 精神的健康, 個人特性としての保育者効力感とハーディネスが含まれる。調査の対象は東京都内公立幼稚園に勤める幼稚園教諭186人である。パス解析の結果, 幼稚園教諭の精神的健康に影響を及ぼしているのは,「園内の人間関係の問題」及び「仕事の多さと時間の欠如」をストレスとして知覚することであった。そのほか「子ども理解・対応の難しさ」,「学級経営の難しさ」が因子分析によりストレス因子として得られたが, これらは精神的健康に影響を及ぼすものではなかった。個人特性としてのハーディネスが「園内の人間関係の問題」, 「仕事の多さと時間の欠如」,「子ども理解. 対応の難しさ」に対するストレス知覚を軽減し, 精神的健康を維持する要因になっていることが示された。