本研究では, 理科と数学の関連づけの仕方を変えた授業が, 生徒の学習にどのように影響するかを調べた。公立中学校の2年生が金属の酸化に関して定比例の法則 (化合する物質の質量比は一定である) を2種類の授業方法で学習した。実験群の生徒は, 最初に, 定比例の法則を原子モデルから演繹した後, 数学で学習した比例の知識を用いて, 酸化前後の金属の質量比を求める課題を2回行った。その際, 理科と数学の教師がチームで指導に当たった。他方, 統制群の生徒は, マグネシウムの酸化の実験を行い, そこから, 定比例の法則を帰納した。また, 酸化前後の金属の質量比を求める課題を1回行い, すべて理科の教師から指導を受けた。その結果, 成績高群の場合, 実験群の生徒は, 統制群の生徒よりも, 授業後のテストで, 数学の関数の知識を用いて, 酸化前後の金属の質量関係を予測し, 計算する得点が高かった。また, 実験群の生徒は, 統制群の生徒よりも, 誤差のある測定値を適切に理解することができた。