幼児期の日常的な園生活における保育者評定用レジリエンス尺度を作成し, その構成と信頼性・妥当性について検討した。保育場面への参与観察の記録から抽出した幼児の日常的ストレッサーについて, 保育実践経験者に質問紙調査を実施し, 頻度・不快さの程度ともに高いと評定されたストレス場面をもとに, レジリエンス尺度を作成した。これについて幼稚園・保育園の年長児及び年中児計289名を対象に保育者による評定を求め, そのα係数・再テスト信頼性係数を算出したところ十分な値が得られ, また因子分析の結果から尺度の一因子性の高さが示された。また, 同一児に関する複数の担任による保育者評定から評定者間の安定性が示された。さらに, 保育者評定の得られた幼児の一部に対しソシオメトリック・テスト, 及び2つの対人葛藤場面でのストレス認識度とドールプレイによるストーリーの展開を求めたところ, 保育者による評定とソシオメトリック・テストにおける被指名者数, 約束を破られた場面におけるストレス認識度, ストーリー展開をレジリエンスの観点から評定した反応得点との間に関連が見られ, 尺度の妥当性が示された。