本研究での目的は, 均等配分が幼児期に成立するのか, またするならば, どのような発達的な変化があるのか検討することであった。12個のチップを数枚の皿に配分させていく個別実験には, 3歳から6 歳までの幼児288名が参加した。主な結果は以下のようなものであった。(1) 年齢の上昇に伴い正答率は上昇し, 選択される配分方略が変化した。(2) どの年齢においても, チップを何回にも渡って皿に配分する数巡方略が選択されていたが, その方略を正答が導くように選択できる人数は, 年齢の上昇に伴い増加した。この方略は従来指摘されていた方略であったが,(3) 1個あるいは複数個のチップをそれぞれの皿に一巡で配分する一巡方略と, 配分されない皿が残つている空皿方略が本研究で明らかになった。(4) また一巡方略の中でも特に配分前に皿1枚当たりのチップの数を把握する「単位」方略が明らかになった。この単位方略は数巡方略ほど, 年齢の上昇との関係が明確ではなかった。