6歳から12歳までの小学生572名を対象に注意機能検査バッテリーを実施した。このバッテリーは, 4 種の下位検査から構成され, 選択的注意と持続的注意, 反応抑制, 分割的注意のアセスメントを意図していた。下位検査得点を分析した結果, これら下位検査によって児童期における注意機能の発達的推移を明らかにすることができた。このデータに基づき, 学年ごとに, 粗得点を評価点に変換するための標準化を行った。下位検査問の相関を分析した結果, 本検査で得られた注意指標は2群に大別でき, 持続的注意と選択的注意をそれぞれ反映していることが示された。さらに下位検査得点は, 年齢要因を取り除いた場合, 知能と弱い相関しか認められなかった。下位検査得点と教師による不注意評定との関連について検討を試みた。この結果, 低中学年において不注意と評定された児童は, 学年を照応させた統制群児童と比較して, 持続的注意指標で成績低下を示したのに対し, 選択的注意では差が認められなかった。対照的に, 高学年で不注意と評定された児童は, 持続的注意の低下は認められなかったものの, 選択的注意が劣っていた。これらの結果から, 本検査バッテリーは注意機能障害のアセスメントにとって有効であることが示唆された。