独力では解決できない課題を解くために他者に助言を求める行為は, 生徒の学習過程において重要な学習方略にあたり, 学業的援助要請と呼ばれる。本研究では, 学業的援助要請への認知傾向である態度を媒介要因としたRyan & Pintrich (1997) の「動機づけ-態度-要請行動」モデルについて, 彼らのモデルで想定されていた能力感への脅威以外の抑制態度を解明し, さらに要請形態の区別を行うことによりモデルを精緻化した。また, 友人と教師という要請対象者別にモデルを構築し, これらを比較検討した。その結果, 熟達目標の高さは, 無効感を媒介して, 適応的要請に影響していた。一方, 遂行目標, 学業コンピテンスは, 能力感への脅威を媒介して, 依存的要請や要請回避に影響していた。しかし, 遂行目標に関しては, 自律性を媒介することにより適応的要請を促進するという側面があることも明らかになった。対教師群と対友人群のモデルでは, 特にコンピテンスの認知の影響に違いがみられた。