本研究では, 中学校1年生を対象に学級を単位とした集団社会的スキル教育を行い, 社会的スキルの促進と主観的適応状態 (ストレス反応, 学校ストレッサー, ソーシャルサポート, 孤独感, 不登校傾向) が改善されるかどうかを検討した。期間は, 約半年で総合的学習の時間を利用して8セッション実施された。標的スキルは, a) 自己紹介, b) 仲間の誘い方, c) あたたかい言葉かけ, d) 協力の求め方, e) お互いを大切にする, f) 上手な断り方, 9) 気持ちのコントロールの7つであった。介入前・中・後の社会的スキル尺度総得点に基づくクラスター分析を行った結果, 下降群, 低得点上昇群, 高維持群, 高得点上昇群の4つのタイプに分類できた。各群の介入前・中・後・フォローアップにおける主観的適応状態について比較したところ, 低得点上昇群の孤独感が減少し, 友人サポートが上昇していた。一方, 下降群は, 不機嫌・怒りが上昇していた。以上の結果より, 中学校における集団社会的スキル教育は社会的スキルを促進し, 主観的適応状態を改善することに一定の効果をもつことが示唆された。