本研究では, 中学校におけるチーム援助のコーディネーション行動およびその基盤となる能力・権限について検討した。瀬戸・石隈(2002)が作成したコーディネーション行動尺度とコーディネーション能力・権限尺度を用いて, スクールカウンセラー配置中学校148校の学年主任, 生徒指導主任, 教育相談担当の長, 養護教諭, スクールカウンセラーを対象として調査を行った。その結果, 中学校におけるコーディネーション行動は, 個別援助チームレベルでは, 説明・調整, 保護者・担任連携, アセスメント. 判断, 専門家連携の4因子, システムレベルでは, マネジメント, 広報活動, 情報収集, ネットワークの4因子から説明できた。またコーディネーション能力・権限は, 状況判断・援助チーム形成, 役割権限, 専門的知識, 話し合い能力の4因子で説明できた。能力・権限がコーディネーション行動に与える影響について分析した結果, 役割によって影響のあり方が異なったが, 役割権限は役割を超えて影響力が強かった。これらの結果から中学校におけるチーム援助のコーディネーションのあり方について考察した。