本研究は, 小・中学生を対象に, 学習意欲と「現在の学習活動が自身の成功や幸福の実現のために有効であるとの認知」(学習の有効性認知) との関係について検討した。学習の有効性認知は,「学習内容や活動の意義や正統性を認める (a)」,「将来の職業や生活で役立つ (b)」,「進学や就職の試験で役立つ (c)」,「有効性を認めない (d)」という4カテゴリーを設定した。分析の結果, 小・中学生どちらにおいても,(1) 学習の有効性認知と学習意欲の間には正の関係があること,(2) 各カテゴリーの有効性認知を強く有する人を比較すると, a, b, c, dの順で学習意欲が高いこと,(3)「好きな教科の多少」で統制しても, 学習意欲は有効性認知a, b, c, dの順に高いこと, が明らかとなった。