小学校高学年の児童に, 1学期と学年末の2回,「教師認知」と「学級雰囲気」についての調査を実施し, 教師が学級集団や学級雰囲気に如何に効果的に影響を及ぼすかということを検討した。因子分析の結果,「教師認知」因子として,「受容・親近」,「自信・客観」,「怖さ」,「罰」,「たくましさ」が,「学級雰囲気」因子として,「認め合い」,「規律」,「意欲」,「楽しさ」,「反抗」が抽出され, 重回帰分析の結果, 学級雰囲気と強い関連性をもっているのは, 教師認知因子「受容・親近」,「自信・客観」の2つであることが示唆された。「受容・親近」は主に「意欲」・「楽しさ」の2つの雰囲気に影響を与えており, 早期よりその効果が顕在化していた。それに対し,「自信・客観」は1学期にはどの雰囲気とも関連が認められなかったが, 学年末の学級雰囲気「認め合い」に正の,「反抗」に負の大きな影響力をもつことが示された。