LDへの支援には詳細な実態把握が不可欠であること, LD児は通常の学級という集団の中で多くの時間を過ごすことから, 集団の場において個をみる視点, 個に配慮する支援を可能にするものとして「個別の指導計画」に着目した。特に本研究では, 従来「個別の指導計画」を作成した経験のない (少ない) 教師に対し, 作成するにあたって, いかに支援したらよいかについて提案することを目的とした。そこで, このような教師支援プログラムを受けながら, LD児の個別の指導計画を作成することで, 教師がどのように変容するかについて検証した。対象は6年生のLD児を担任する通常の学級の教師であった。個別の指導計画作成にあたっての支援では, 「個別の支援方針」の提示, マンスリーミーティング, 個別の指導計画作成に関するガイダンス, 書式の提示を行った。個別の指導計画の作成開始前後で比較した結果, つまずきの要因の把握や, 適切な手だてへの見直し等, 教師の意識, 実践面ともに変化がみられた。また, 作成当初は, 「実態」「目標」「手だて」の記述の間で内容的なつながりがみられなかったが, 次第に, 一連のサイクルとして相互につながりがみられるようになった。一方, 対象児童については, 達成度に関するマイナスの評価に減少がみられた。この背景に, 個別の指導計画を通して, 対象児に対し適切な目標が設定されるようになったこと, 対象児の特性を配慮した手だてが講じられるようになったことが示唆された。これらの結果を受け, 個別の指導計画に関する教師支援プログラムの在り方とその効果について論じる。