本研究では, 高校1年生を対象として, 自己決定理論に基づいて作成された自律的高校進学動機が学校生活の楽しさや人間関係における満足度といった学校適応・不適応感に及ぼす影響について, 短期縦断的に検討した。その結果, 5月に測定された自律的高校進学動機のうち, 自律性が低い外的・取り入れ的調整は10月, 翌年3月の学校不適応感の高さを予測した。また, 自律性 (自己決定性) が高い統合的・内的調整は10月, 3月における学校適応感の高さ, および学校不適応感の低さを予測した。さらには, 5月の時点での学校適応感を統制しても, 統合的・内的調整は10月, 翌年3月の学校適応感に影響を及ぼしていた。自律性が中程度である同一化的調整が学校適応感に及ぼす影響は限定的であった。これらの結果から, 学校生活の楽しさや人間関係における満足度といった側面における学校適応においては, 自律的に高校進学を行うことがその後の学校適応につながることが示唆された。