本研究では, 音の上げ下げを示す中国語の「声調」の学習において, VT法 (言調聴覚法) に基づく「身体的動き」(アクション) を用いた指導法の効果について検討を行った。4つの声調は, 発声の起点や到達点において音の高低や緊張度がそれぞれ異なるので, その違いを学習者に弁別させるため, 「音声」に加えて「アクション」という手がかりを付与することによって, 声調学習が短期間で適切かつ効果的に行われるであろうという視点が本研究の仮説である。この仮説を検証するため, 中国語初級クラスの35人の大学生を被験者とし, 週2コマ (90分×2) の授業で, 7週間にわたってアクションを伴った声調学習の実践をし, その後, 学習効果を調べるための事後テスト及びアンケート調査を行った。構成法を採用して仮説検証をしたところ, 単音節・2音節を含む「声調の書き取り」・「声調の発音」のすべての課題において, 高い正答率が見られ, アンケート調査においても, 当該仮説が支持される結果を得た。これらの結果から, アクションを用いた指導法は日本人の中国語初学者の声調学習を援助する効果的方法であることが確認できた。