本研究の目的は, ゲーム・リハーサルを含むソーシャル・スキル・プログラム (SS-pro) をLD, ADHD, アスペルガー症候群のある児童らに実施し, 各障害に対して効果に違いがあるか, また, 各障害別で指導の配慮点は何かを検討することであった。対象となるグループは, 小学校高学年の男児6名で構成され, 今回の研究の対象は, LDのあるA (小4), ADHDのあるB (小5), アスペルガー症候群のあるC (小5) の3名である。SS-proは,「協調的に仲間に関わること」を目的に, 月3回, 1回30~40分, 3ヵ月にわたり計8回実施された。SS-proの効果を検討するために, 自由遊び場面での行動観察, 話し合い場面での行動観察, 尺度による指導者評定などを行った。結果, AとBは, 協調的行動を増加させ, 消極的行動や攻撃的行動を減少させることができた。しかし, Cに対しては明確な効果を得ることができなかった。考察として, 障害によりソーシャル・スキルの指導方法が異なることが示唆された。そして, 般化プログラムやアセスメントを検討していくことなどが課題として残された。