本研究の目的は, 中学1年生213名を対象とし, 日頃比較をしている友人の学業成績と学業コンピテンスが, 生徒の学業成績の向上に及ぼす影響を検討することであった。本研究の結果より, 中学1年生においては, 自分よりも幾分優れている同性の友人と学業的遂行の社会的比較を行う傾向のあることがわかった。そして, 中学1年生の学業成績の向上において, 比較をしている友人の学業成績と学業コンピテンスの交互作用の影響が見られ, 日頃学業成績が高い友人と比較をしている人のうち, 学業コンピテンスが高い人は, 学業成績が向上した。一方, 学業成績が高い友人と比較をしている人であっても, 本人の学業コンピテンスが低い人には, 学業成績の向上は見られなかった。そして, 学業成績が低い友人と比較をする人は, 学業コンピテンスの高低にかかわらず, 学業成績の低下が見られることが示された。