本研究の目的は, 社会的スキルを内包するライフスキルを多面的に測ることができる多次元の尺度の開発であった。その際, ライフスキルを「効果的に日常生活を過ごすために必要な学習された行動や内面的な心の働き」と定義し, ライフスキル研究と社会的スキル研究をもとに項目の作成を行った。内容的妥当性の検討と予備調査による項目の精選の後に選定された42項目に対して, 729名の大学生に反応を求めた。探索的因子分析の結果, この尺度は主に個人場面で展開されるスキルを表す個人的スキル (計画性, 情報要約力, 自尊心, 前向きな思考) と, 主に対人場面で展開されるスキルを表す対人スキル (親和性, リーダーシップ, 感受性, 対人マナー) という2つに大きく分類される8下位尺度 (計24項目) から構成されることが示され, 「日常生活スキル尺度 (大学生版) 」と命名された。また, 本尺度はデータへの適合もよく, 各下位尺度と尺度全体にはおおむね満足できる信頼性・妥当性が認められた。