本研究では,「居場所」の心理的機能の構造とその発達的変化について検討した。「居場所」の心理的機能の構造を分析するために, 自由記述により得られた居場所の選択理由と先行研究を検討して作成した尺度を用いて, 小・中・高校生を対象に調査を行った。その結果,「居場所」の心理的機能には, 「被受容感」「精神的安定」「行動の自由」「思考・内省」「自己肯定感」「他者からの自由」の6因子があることが明らかとなった。「居場所」を他者の存在により,「自分ひとりの居場所」「家族のいる居場所」「家族以外の人のいる居場所」に分類した結果, 小学生では「家族のいる居場所」, 中・高校生では「自分ひとりの居場所」が多いことが明らかとなり, 発達段階により選択される「居場所」が異なってくることが示された。この3分類により心理的機能の比較分析を行った結果, それぞれの「居場所」の固有性が明らかとなった。