本研究では, 対人ストレス過程において, 友人関係に関する目標が果たす役割を検証した。514名の大学生を対象に, 友人関係の目標, 対人ストレスコーピング, 精神的健康などを測定した。友人関係目標に関する指標を用いたクラスタ分析の結果から, 被調査者を深い広い友人関係, 深い狭い友人関係, 浅い広い友人関係, 浅い狭い友人関係の4つのクラスタに分類した。部分的にではあるが, 友人関係の目標によって, 対人ストレスコーピングと精神的健康との関連性が異なることが明らかになった。特に, 浅い広い友人関係を目標とするクラスタにおいて, 解決先送りコーピングと精神的健康とに正の関連性がみられた。対人ストレス過程において, 友人関係目標が果たす役割の重要性が論じられた。