本研究では, 中学生の教師に対する信頼感の内容を尺度を作成する中で明らかにし, 中学生の教師に対する信頼感とその規定要因について検討した。中学生345名を対象に調査を実施した。分析1では, 生徒の教師に対する信頼感尺度を作成し, 信頼性と妥当性を検討した。その結果,(1) 生徒の教師に対する信頼感尺度には「安心感」,「不信」,「正当性」の3つの下位尺度があること,(2)「安心感」,「不信」,「正当性」については, 学年によって有意に得点が異なることが明らかになった。分析2では, 生徒の教師に対する信頼感とその規定要因について検討した。その結果,(1) 各学年とも「基本的信頼感」「保護者の信頼感」が「不信」に影響しており, 生徒の教師に対する信頼感には家庭の要因も関連すること,(2)「安心感」「正当性」においては, 各学年とも共通して「ソーシャル・サポート」が影響を与えており, 生徒の教師に対する信頼感には教師からのソーシャル・サポートが重要な要因であること,(3)「不信」には,「STT尺度」のポジティブな2因子である「安心感」「正当性」と比べ, より多くの要因が関連していること, などが明らかになった。