本研究では, George & Solomon (1990/1996/2000) によって提案された, 子どもの愛着の新しい測定具であるAttachment Doll Playが, 日本の子どもに実施可能であるか, 妥当であるかを検討した。Doll Playの教示を日本の子どもにわかるように変更した後, 5~6歳の幼稚園児56名にDoll Playを実施し, 更に, 母子分離の後の母親との再会場面での子どもの愛着行動を観察した。 その結果,(1) 日本の女児も男児も, Doll Playに対して, アメリカの子どもと類似した反応を示したこと,(2) 愛着をA, B, C, Dの4タイプに分類する原手引の基準は, 日本の子どもに対しても適応可能であったこと,(3) Doll Playと母子再会場面での子どもの愛着行動との間には有意な一致がみられ ( k =.62; p <.001), 妥当性が確認されたこと, が示された。最後に, 文化がDoll Playに与える影響と, Doll Playを用いた今後の研究について述べた。