本研究は, 小学5年生理科での振り子の学習単元において, 「児童が振り子の運動を測定・集計する際にその手続きを支援する学習ツール」と学習者が協同で能動的に学習に取り組む活動形態としての“GIsM”L (Palincsar et al., 2000) を組み合わせた学習環境をデザインし, これらの学習環境下で生成された観察・実験の談話過程を分析した。分析の結果, 振り子の各課題の困難度の違いによって, 異なる説明活動が先行概念の変化を促す要因として深く関与していることが示唆された: (1) 理解の困難度が低い課題 (ひもの長さ) の場合, 物理現象を『先行概念』と関連づける説明活動,(2) 困難度が中程度の課題 (おもりの重さ) の場合, 納得がいくまで何度も観察・実験を繰り返す『反復性』, 物理現象を数の領域ヘマッピングし『数学的関係』を用いて理解する説明活動,(3) 困難度が高い課題 (振れ幅の大きさ) の場合, シミユレーションを繰り返す過程で. 何度も予測に立ち返り『予測精度』を上げながら理論を解釈し直す説明活動。さらに,(4) 小集団における理論構築を踏まえた上で「クラス全体」の討論で理論を再構築する場において, 他グループのデータや理論を照合する『社会的参照』, 個別の理論を組織的に統合する教師の視点を受け入れる『情報の信頼性』の説明活動が生成された場合, 振り子の全課題に対して科学的概念の変容が促される可能性が示唆された。