本研究は, 思春期の身体発育と抑うつ傾向との関連について, 思春期の身体発育の発現が直接抑うつ傾向に影響するのか, 思春期の身体発育が発現に対する受容感や身体変容行動を媒介として抑うつ傾向と関連するのかを検討することを目的として実施した。中学生870名 (男子445名, 女子425名) を対象に思春期の身体発育の発現状況, 思春期の身体発育の発現に対する受容感, 身体変容行動 (体重減少行動・体重増加行動), 露出回避行動, 身体満足度, 抑うつ傾向について測定した。その結果, 1) 男子においては思春期の身体発育の発現は抑うつ傾向と直接的にも間接的にも関連していなかった。2) 女子においては, 皮下脂肪がついてきたことにおいて抑うつ傾向と直接的な関連がみられたが, 他の身体発育では見られなかった。3) 女子においては, 思春期の身体発育の発現は, 発現に対する受容感が身体満足度と露出回避行動を媒介にして抑うつ傾向に関連するという構造が示された。