本研究の目的は, 協同による法則の発見において, 「仮説評価スキーマ」を教示する効果を検討することである。仮説評価スキーマとは, 仮説と実験結果の適合を図るための活動を行う上で必要な一連の手続きを, 時系列に沿ってまとめたものである。実験参加者は, 実験者が定めたルールを, 仮説を形成し実験によって検証するというプロセスを通して発見するよう求められた。その際, 探究形態 (単独条件・協同条件) と教示 (仮説評価スキーマ教示条件・統制条件) によって4群を構成し, その遂行を比較した。遂行成績は, 仮説評価スキーマを教示され, それに基づいて協同で活動した群 (協同・仮説評価スキーマ教示群) で, その他の群よりも高かった。また, プロトコルを用いて, 遂行成績が高まるプロセスを分析した。その結果, 仮説評価スキーマの教示が, 仮説と実験結果の適合を図る活動を促すこと, そして, 仮説評価スキーマを教示し, それに基づいて協同で活動させることが, 仮説に対する反証的証拠が得られたときに, 適切に仮説を棄却する活動を促すことが示された。