行動ファイナンスの領域で代表的なバイアス質問を利用した, リスク追求傾向に関する尺度構成が試みられた。401名の被験者の項目への回答比率の分析から, 大半の項目がプロスペクト理論によって説明が可能であることが明らかになり, 項目間の四分相関係数の検討により, 項目が測定している尺度が「リスク追求」の次元であることが明らかになった。同データの探索的カテゴリカル因子分析の結果から, 項目が測定する次元数は1であり「リスク追求」次元の因子妥当性が確認された。「リスク追求」因子の存在を確認した後, 2母数ロジスティックIRTモデルによって尺度化が試みられ, 項目母数, 項目特性曲線がそれぞれ算出された。またDIFの検出も試みられ, 一つの項目が男女間で特異な機能をみせることが明らかになった。