本研究では, 中学生における友人に対する相談行動と, 問題の程度, 学校生活満足度に加え, 従来検討されてこなかった相談行動の利益・コストとの関連を検討した。研究1において, 相談行動の利益・コスト尺度を作成し, 信頼性・妥当性を検討した。その結果, 相談行動の利益・コスト尺度にはある程度の信頼性・妥当性を持つことが確認された。研究2において, 中学生1139名を対象として質問紙を実施し, 共分散構造分析を用いて, 相談行動の利益・コスト, 問題の程度, 学校生活満足度が相談行動に与える影響について検討した。主な結果は以下の通りである。(a) 相談行動の高さには, 相談実行の利益, 問題の程度の高さが影響していた。(b) 相談実行のコストは相談行動と関連していなかった。さらに,(c) 心理・社会的問題の相談行動の高さには, 相談回避のコストの高さが影響していた。(d) 心理・社会的問題の相談行動の低さには, 相談回避の利益の高さが影響していた。