本研究では, 中学校におけるコンピュータを活用したキャリアガイダンスの効果を検討することを目的とした。コンピュータの活用の仕方に「自由使用群」「テスト先行群」「職業リスト群」の3つの群を設定し, 中学生197名をランダムに割り当てた。進路成熟の程度によって, コンピュータを活用したキャリアガイダンスが進路選択に対する自己効力感に与える影響が異なるか否かを検討した。実験の結果, コンピュータ活用後に,「教育的」「職業的」「人生的」進路課題に対する自己効力感は全て有意に高まっており, コンピュータによるキャリアガイダンスは中学生に対して総じて効果的であった。また, 進路成熟態度自律度によって効果に違いがみられ, 進路への取り組み姿勢が主体的でない自律度が低い生徒では, コンピュータを自由に使用して職業情報を探索させる手法が職業的進路課題に対する自己効力感を高めていた。一方, 自律度が高い生徒では, テストを先にやるように教示する手法が, おもに教育的および職業的進路課題に対する自己効力感を高めていた。以上の結果に基づいて, 中学校のキャリア教育における効果的なコンピュータの使用について議論を行った。