本研究では, 保護者面談において教師が保護者との連携を構築するプロセス, およびその特徴を明らかにすることを目的とした。グラウンデッド・セオリー・アプローチにより教師の発話を分析した結果, 9個のカテゴリーが抽出され, これらは2つのプロセス, 「援助具体化」と「保護者との関係構築」にまとめられた。教師は, 保護者面談において傾聴的発言や自己開示的発言, 保護者からの情報収集等により保護者との関係を構築しつつ, 面談目的確認, 現状の情報提供, 状況の分析, 振り返り, 対応策の検討, さらに随所で行われる保護者からの情報収集により援助を具体化するとの仮説が生成された。この仮説を既存のコンサルテーションモデルと比較すると, 面談で取り上げる問題状況と深く関わりを持つ教師が行う保護者面談は, 教師が自分自身の対応を振り返り, 対応策について積極的に提案する特徴がある反面, 問題や目標設定が曖昧になる特徴があると考えられる。保護者面談で教師と保護者が共通理解を図るプロセスは, 保護者の理解や方針を取り入れながら教師が自分自身の理解や方針を修正するプロセスであり, 保護者との連携構築にはこのような教師の変容が鍵になると考えられた。