本研究では, 学習場面での援助要請 (自律的援助要請・依存的援助要請) において, 援助者としての教師がどのような役割を果たしているのかを明らかにするために, 教師の指導スタイル (教師主導型・相互対話型) とサポート的態度に焦点を当てた検討を行った。中学生2,304名とその数学担当教師22名を対象に質問紙調査を実施して, 階層線形モデル (HLM) による分析を行った。その結果, 教師主導型指導と依存的援助要請との間に有意な関連が示された。一方, 相互対話型指導と自律的援助要請との間には有意な関連は示されなかった。また, 学習者要因 (学習観, つまずき明確化方略) と援助要請の間の有意な関連が示され, さらにつまずき明確化方略との関連にはクラス間差も確認された。そこで, クラス間差を説明するための教師要因を投入したところ, 教師主導型指導が有意な負の関連を示した。教師のサポート的態度は自律的, 依存的どちらの援助要請とも有意な関連は示されなかった。以上の結果から導かれる教育的示唆について述べた。