本研究は,(1) ソーシャルスキルの自己認知と他者評定との関係,(2) 自己の印象とソーシャルスキルとの関連,(3) ソーシャルスキルの自己認知と実際の行動との違いを明らかにすることを目的とした。質問紙によって113名の大学生を2つのグループに分け, ソーシャルスキル高群10名, 低群10名 (それぞれ男性5名・女性5名ずつ) を研究対象者とした。研究対象者は実験室で初対面の人物と対面し,「関係継続が予期される初対面場面」として共同作業場面を実験場面とし, 実験を行った。そのやりとりの内容は, ワンウェイミラーを通して観察した。その結果, ソーシャルスキルの自己認知は他者評定とかなり一貫していることがわかった。ソーシャルスキルの高い者は他者評定によっても高く評定されていた。また, 相手の人に対してよい印象を与えていると自負していることがわかった。ソーシャルスキルの高い者は初対面場面において, 質問などをすることによって会話を展開, 維持する傾向にあることがわかった。また, 相手が異性であるか, 同性であるかということが行動に影響を及ぼしたことが推測された。