この研究は, 被教育者の学習の機構を, 近似的に, 教育作用 (S) と教育効果 (G) との関係を規定するもの, すなわち f (S) =G における関数fであると考え, この関数fの構造を解析的に究明していこうとするものである。 今回は, 関数fに学習準備性の模型を導入し, これを解析的に検討することによつて,(4) 式のように, 学習準備点 (Rα) を定式化した。次に,(4) 式に基づいて,(8) 式の方法で, 具体的に学習準備点 (Rα) を抽出し, さらに (13) 式の方法で, 学習の準備性を解明しようとした。 しかし,(8),(13) 式は, 一次元的な特性 (α) を基盤とした考察であるために, ひとつの大きな制約条件として, 尺度化可能性という問題が実際に操作面で取りあげられる。そのために, これを多次元に拡張した。 (18),(22) 式はその結果である。これによつて, ある程度, 客観的な観点から, 学習準備性の構造が解析できるものと考えられる。